第3章 ジレンマ

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何故だ?どうして澄恵が死ななきゃいけないんだ? 俺はポケットにしまい込んだまま、指輪のケースを握りしめていた。 こうなったら、事故以前の日に戻らないと! これで俺は、何度目の別れを澄恵に告げたのだろうか。 そして手袋を装着して、指を鳴らした。 * * * * 目が覚めたら、既に澄恵は出勤していたらしい。 テレビを付けると、朝の天気予報がやっていた。 「今日、十二月十八日の天気は、生憎の荒れ模様で…」 とアナウンサーが話している。 「十八日?四日も前に飛んだのか?」 窓の外は、どんよりと曇っていた。これは雪が降ってきそうだなと、何気にカレンダーを見た。 今日の日付に、俺はつい目を止めた。 「もう一年か…」 丁度一年前、俺が初めて澄恵を見つけた日だ。
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