第1章 別れ

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病院に駆け込んだ時、霊安室の前に警官が二人立っていた。名前を言って中へ入ると、澄恵は白いシーツを被せられていた。 いや、本当にこれは澄恵なのか? しかしそこに居たのは、紛れもなく澄恵だった。 シーツをめくると、安らかな顔をしていた。 「どうして?どうしてこんな事に!」 俺は声を荒げた。 すると後ろから警官が「実は澄恵さん、物盗りにあった様なんです。抵抗した際に腹部を数カ所刺されてまして…」と事情を説明した。 澄恵はブラッディという貴金属店の路地裏で倒れていたらしい。そこは俺が昨晩、盗みに入った店だ。 澄恵はもしかして、あのネックレスを返しに行ったのか?この店のショーウインドウ越しに「これ綺麗よね」と、いつも彼女から聞かされたものだ。 きっと、あのネックレスだと気付いていたんだろう。
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