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するとどうした事か、手袋はシュシュッと手にピッタリ装着した。
「うわっ!何だよこれ?」手首に付いてる紐が、締め付けて外そうにも離れない。
「くそっどうなってんだ?」
俺は仕方なく、次に指を鳴らす事にした。
ジジイ、覚えてろよ!
パチンッ!
途端に右手が燃える様に熱くなってきた。
「うわっ!どうしたんだ!」
甲の文字が、浮き出る様に赤く光っている。
「うわあっ!」
俺はそのまま、意識を失った。
* * * *
目が覚めると朝だった。
「あれ?俺はどうしてここに?」自分の部屋だ。
俺は起き出してリビングに向かった。
すると「拓郎!これどうしたのよ?」と澄恵がネックレスを手にぶら下げて、奥の部屋から飛んで来た。
「ええ!澄恵、どうしてここにいるんだ?」俺は訳が分からなかった。
「二人の家なんだから、当たり前じゃない。それよりまた昔の癖が出たのね!あれだけ約束したのに!」
澄恵は少し、涙を浮かべていた。
俺は澄恵に訊ねた。
「所で、今日は一体何日だ?」
「何言ってんの?十二月二十三日じゃない。どうせブラッディから盗んだんでしょ?この大馬鹿者!」
澄恵は、呆れた顔をして出て行った。
彼女は花屋で働いており、今は大忙しの筈だ。
俺は壁に掛かったカレンダーを見つめた。
「どうなってんだ?これって…」
すると俺は、はっと思い出した。
「駄目だ!澄恵!ブラッディに行っちゃ駄目だ!」
俺は慌てて家を飛び出した。
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