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そう、気付いていた。
目蓋の内側を明るく照らすのは、午後の光だって事。
僕は目を開きたくなかった。
もう何もかもやる気がでないのだ。
昨日、大学から3年間付き合っていた彼女に別れてって言うわれて。
彼女は一つ年下で、僕は今年就職して会えない日々が続いていた。
そうしたら……、もう違う彼氏がいるらしい。
昨日の夜、「明日さあ……」つまり今日、休みだから遊びに行こうよって電話で言ったら、その事を言うわれたんだ。
ああ……でも、腹へった。
僕は気だるい体を起し、服の脱ぎ散らかした部屋を足でかき分け冷蔵庫を開けた。
卵位しかない。卵焼きでも作るか……。
かき混ぜた卵をフライパンに落とす。
卵は細かい泡をたてながらすすり泣く様に焼けていく。
「まあ、雨が降っていないだけ、まだましか……」
僕には、一番苦い失恋の記憶が今でも頭の中にこびりついている。
それは、高校一年生の時の初恋。
僕の好きになった女の子を、もう一人好きになったやつがいて、そいつとは友達って訳ではなくて、両方ともフラれて、僕もそいつも諦められなくって……。
女の子からしたら良い迷惑な話だが、正直えらい目に遭った。
3回目、気持ちを伝えて、フラれて、彼女に諦める事を決心してその事を伝えた。
そして、その一週間後、彼女は彼女の友達に「どちらかを選ばないと終わらない」って言うわれたと僕に告げ、もう一人の奴と付き合う事となった。
最初、はあ?ってなったが二日くらいで持ち直して、「お幸せに」ってなれたんだけど……、問題はその後だった。
一週間でその二人が別れたからだ。
もう頭の中が音をたてて崩れるみたいだった。
僕は、思わず電話した。なんでそうなるんだと。
調度、梅雨時で……。
家を飛び出して雨の中電話した。雨に打たれながら、顔をくしゃくしゃにして、なんで?僕はこんなに傷付かないといけないんだ?何でだ……。
胸が痛くて痛くて仕方なかった。
しかし、もうそこに好きと言う気持ちは存在していなかった気がする。
僕は雨の中、電話しながら絶望の縁にいた。
もうそれから二年間は暗い生活を送った。雨の中で電話してたために雨の音が耳にこびりついて、雨の日に発作のように彼女に電話した。苦しいんだと。
大学受験も失敗して、滑り止めに入った。
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