喫茶店

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彼女は、目が大きくて、口が大きくて。 笑うだけで周りが明るくなる、そんな笑顔の持主で……。 そして今、そんな笑顔が僕の目の前で開花していた。 「何~久しぶりって?さっき、教室で会ったでしょ?」 そうなのか?全くこの前の自分覚えてない。どうやって呼び出したっけ? てか、この状況なんだ?夢か?でもそのわりには体の感覚がリアル過ぎる。 そうか……もし夢なら彼女の体温は感じないはず! もし感じたら彼女は紛れもなく僕の目の前に存在する! 「えのちゃん!」 彼女は、少し驚いた様に目を丸くした。 呼び掛けただけなのになんで? 「な、なんか僕、変なこと言った。」 彼女は目を丸くしたまま左右に首をふった。 「いや、河野くん、えのの事いつも榎本さんて呼んでたからちょっとびっくりしただけ……。」 しまったー!!えー!えのちゃんって呼び始めたのいつ頃からだっけ?うっそ、やっちまった。 と、とりあえず……。 「とりあえず、握手してくれ。」 また目を丸くしている。唐突過ぎたか。 彼女は、吹き出すように笑い始めた。 そのまま彼女は「あはははは」って涙が出そうな位笑っている。こんなに笑うのに、この子の笑いかたって何だか汚さがないんだよね。 昔はこの子の笑顔が見たくって授業中とかよく笑わせていたっけ。 春の風が木の青葉を揺らし木漏れ日がチカチカと彼女を照らす。春の陽気まで喜んでいる。 笑いが治まってきて、彼女は笑顔のまま僕を見た。 「本当に今日どうしたの河野くん。」 彼女の笑顔が僕を見ている。やっぱり……。 「やっぱり、可愛いね」 彼女はまた目を丸くした。 「急に何言ってんの、照れちゃうよ……」 いや、照れてる君も可愛い。 短めな髪を耳に掛け「あはっ」と軽く笑う。この瞬間、本物だったら良いのに。 てか、とりあえず、この子が、そしてこの状況が本物か確かめないと! 「とりあえず握手しよう?」 彼女はうん、と言って僕の手を握った……冷たい。 「えのちゃんの手、冷たいよ……。」
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