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「寝てたじゃないでしょ!全く君は……。授業中うるさいし。」
サァーセーンと全く反省のない返事を、たぶんこの頃の僕はしていた。
でも、もう大人だからね。
僕は先生の目をじっと見て……。
「申し訳ありません。もう5月も終わりで少し疲れが出てしまっていたみたいで、これからはこのような事のないように精進いたしますので、どうかお許し下さい。」
僕はそう言うと、営業職で培った最上級に整ったお辞儀をみせた。
これには先生も「そ、そうか。」と言うしかない。
どうだ、これこそ大人の対応!
みんなおーって感じに口を開いてどうした?
それにしても懐かしいなあ、みんなが見える、席戻るまでにキョロキョロしてしまうよ。
いつも半笑い……いや、ニヤニヤした顔した和田さん、チビな髪形真ん中分けのてっちゃん、細くて坊っちゃん眼鏡でマッチ棒みたいな木のさん……。
ぽっちゃり系野球部の北さん、こいつ二年生になって野球部こいつしかいなくなって一人野球部してたっけ……。
いつも優しいワトソン、いつも元気でストイック陸上部イッチー。
アライ……デブ気味の、いつも女子に馴れ馴れしくツンツンするやつ、えのちゃんにしてたときは潰してやろうかと思った。
後は、ライバル?いや片想い仲間と言っておこう、テラさんだ。今見るとモヤシみたいなやつだなあ。今の僕も一緒か……。
そうしている間に、えのちゃんの目の前まで来ていた。
可愛い笑顔で、少し手をパチパチしてる。本当に可愛いんだよ、まったく……。
僕は右肘を高くあげ、右手でピースを作ると、左目でウィンクをして、右手のピースを右目で覗いた。
「イエス!かしこまり!」
視界にアライが手をあげているのが写りこんだ……。
「先生、こいつ反省してないよ。」
アライ潰す。
まあでも、目の前のえのちゃんに今のウケたみたいだから良いか。
彼女は笑顔が溢れる口元を両手で押え、こちらに目を輝かせていた。
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