砂抜き

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砂抜き

 ジャリ……ッ! うっ……。  サイコパスは、口の動きを止めた。  ……最悪。またかよ。  サイコパスは、口の中で噛み潰したものをすべて吐き出した。  テーブルの中に吐き出されたそれは、身と僅かの砂粒。  おいおい! これマジで不快だわー。美味しく食べてるのに急に訪れる「ジャリッ!」。貝とか魚とか、とにかく魚介類を食べるときに起こるアレ。マジ勘弁。不快極まりないわ!   ペッ……!  サイコパスは、口の中に残る違和感を取り除いた。 「おい! 料理長!」  サイコパスは、すぐさま料理長を呼び出した。 「どうなさいましたか?」 「どうなさいましたかじゃねぇよ! ふざけんなよ! この食材しっかり砂抜きしたんだろうなー!?」  おどおどとする料理長。その返答は曖昧なものだった。 「したはず……ですが……」 「したはず……ですが……じゃねぇよ! はずとか言ってる時点でできてねぇんだよ! ぶっ殺すぞ!」  サイコパスは、横暴とした態度でナイフを床に叩きつける。  その怒った様子は恐ろしく、料理長も只管に頭を下げるしかない。 「申し訳ございませんでした! すぐに新しい食事をお持ちします。しばしお待ちくださいませ」  このままじゃ自分も殺されると思ったのか、料理長はそそくさと厨房に踵を返した。 「……おいっ! 待て!」 「はいっ!」  急ブレーキをかけ、振り返る料理長。 「この肉、どこで仕留めた?」 「屋敷前のプライベートビーチにて殺しました」  サイコパスは、考えるようにして頷く。 「どうりで。この肉、塩っけ強いぞ!」 「申し訳ございません!」  サイコパスは、薄味がお好み。
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