ピッポちゃん!

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ピッポちゃん!

「あのねーピッポちゃんがママの事、好きなんだって」 「あら、そうなのママもピッポちゃんの事が大好きよ」 紗江子は3歳になる一人娘の茜の言葉をさして気にもせず、洗濯物を畳んでいた。 「それでね、ピッポちゃんがお腹が空いたから何か食べたいって」 紗江子は時計を見て「そろそろ3時ねー!」 「茜ちゃん、おやつはクッキーでいい?」 「チョット待ってて、ピッポちゃんに聞いてくるから」 茜はリビングを出て自分の部屋に走って行った。 紗江子は「ウフフ、ピッポちゃんって、どの縫いぐるみかしら?」 茜が部屋から戻って来て「ピッポちゃんがクッキーでいいってサア!」 紗江子が「へぇーピッポちゃんってクッキーが好きなのね?」 「ねぇ、茜ちゃんピッポちゃんってどの縫いぐるみ?」何気無く紗江子は茜に聞いた。 「クリスマスのプレゼントのクマさん?それとも、おじいちゃまがお誕生日にプレゼントした、ウサちゃん?」 紗江子は茜のたくさんの縫いぐるみのどれか、聞いてみた。 「ピッポちゃんはピッポちゃんだよ、ママ!」 「ふーんそうなの?」 「私、ピッポちゃんにクッキーあげて来るねー」 茜はクッキーを二つ持って、また自分の部屋に駆けて行った。 「お部屋でクッキー、ポロポロ落とさないでよー茜ちゃん」 紗江子は3歳児の言動にさして感心も示さず、戻って来た茜に「サァてと、茜ちゃん夕ごはん何にしようか?」 茜は立ち上がって「ピッポちゃんにも聞いて来るから、チョット待っててね、ママ」 「あらあら、よっぽど、お気に入りのお人形さんなのねー」 「ピッポちゃんが夕ごはん、いらないって」 「そうねーピッポちゃんは今クッキーを食べたばかりだからね!」 そう言いながら紗江子はキッチンに向かって行った。 茜も自分の部屋に戻って行った。 6時半になって紗江子はキッチンから茜に声をかけた。 「茜ちゃん、夕ごはんできたわよーおてて洗って来てちょうだい」 「ハ〜イママ!」
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