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目が覚めると、やっぱり彼は死んでいた。
気の違いか、魔がさしたのか……とにかく彼は死んでいた。あるいは私の心の中では、以前からすっかり計画済みだったのかもしれない。それだけは否定したい気持ちもあったが、その主張は現状あまりにも儚すぎた。
彼は死に、私はその隣で一晩を明かした。
夢のようでもあったし、それではひどくつまらないようにも思えていた。
私はもう一度まぶたを閉じた。高鳴る胸を吐息に変えて、はじめて彼の手に触れてみると、冷たくて硬い。
まるで人ではないようだった。彼が私を揶揄したように。
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