また明日

5/7
前へ
/7ページ
次へ
 校長先生と話終わってから、マメを連れて弥生ちゃんと誰もいない校庭に出た。十年前と比べて、何もかもが一回り小さい気がした。ブランコやぐるぐる回るひし形の遊具にはPEテープが巻かれ、『使用禁止』と書かれている。 「最近多いよね。こういうの。危ないから撤去しろってクレーム入れてくる親でもいるのかな。昔はそんな事言う人いなかったような気がするけどな」  私は思わずそう言った。 「私ブランコからダイブして捻挫したことあったけど、まあ、危ないものをすべて取り除いても、子どものためにはならないかもね。それとも、そもそも需要がなくなったのかな」  弥生ちゃんは頷きながらテープを人差し指でばちばち鳴らした。その時の横顔が、夕日と重なってやけに切なく見えた。 「昔の方が良かったって思うの、歳とった証拠なのかな」  気づけば、私はそんなことを口走っていた。 「いやいや、まだ二十二歳でしょ?」     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加