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校長先生と話終わってから、マメを連れて弥生ちゃんと誰もいない校庭に出た。十年前と比べて、何もかもが一回り小さい気がした。ブランコやぐるぐる回るひし形の遊具にはPEテープが巻かれ、『使用禁止』と書かれている。
「最近多いよね。こういうの。危ないから撤去しろってクレーム入れてくる親でもいるのかな。昔はそんな事言う人いなかったような気がするけどな」
私は思わずそう言った。
「私ブランコからダイブして捻挫したことあったけど、まあ、危ないものをすべて取り除いても、子どものためにはならないかもね。それとも、そもそも需要がなくなったのかな」
弥生ちゃんは頷きながらテープを人差し指でばちばち鳴らした。その時の横顔が、夕日と重なってやけに切なく見えた。
「昔の方が良かったって思うの、歳とった証拠なのかな」
気づけば、私はそんなことを口走っていた。
「いやいや、まだ二十二歳でしょ?」
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