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   大広間にはこの屋敷内にいる全員が集まっていた。いやあの子はいないようだけど。  「皆さん今日は私の誕生日パーティを行う予定でしたがご存知の通り諸事情により中止になりました。せっかく用意していた食材もありますし今夜はここで晩餐会を行います。さらにせっかく来ていただいた芸人の方もいらっしゃるので余興としてのちほど披露して頂きます。それまでしばしご歓談下さい」  こうして大広間で晩餐会が開かれたのである。  「うまい!基本的にはどれも素材を生かした料理だけど味付けがちょうどいい」  アリッサさんやウルフィーさんが食事を運んでくる。少し離れた席でフゴーさんも護衛に囲まれていて変わった様子はない。でも必ず何かが起こるはず。静かにそのときが来るのを待っていた。他の人たちも各々自由にしている。不振な動きは見られないが何かしらで部屋の外への出入りはある。厳しくついて回ることもできなくはないが、やはりフゴーさんの側にいるのが一番良さそうだろう。  しかしホゴーさんが目に付いて仕方ない。そっくりすぎて鬱陶しいぐらいだ。着ているものも一緒だし唯一違うのは胸のブローチだろうか。フゴーさんが緑でホゴーさんが青だ。禿げてくれればわかりやすいんだけどな。  そして時間が流れる。
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