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   玄関先に佇む。  「さて他の人にも会っておきたいけど。まずはこれか・・・」  懐から取り出したのは水晶だった。上に掲げて呪文を唱えると水晶は輝き光が屋敷全体を覆った。これは結界で外への人の出入りを感知することができる。これで犯人が外から来たのか、外へ出たのかがわかる。神官に支給されるプレゼントみたいなものだ。  「もう今日は客が来る予定がないらしいから反応することはないと思うけど」  結界を張り終えると屋敷内を散策する。誰かいないだろうか。大広間の前の控え室を見てみると3人の人物がいた。  一人は妖艶な女性で人形を操っている。獣の耳が出ているから人族でななさそうだ。  「始めまして私は・・・」  「聞いてますよ神官様。私は人形遣いのカミールと申します。以後お見知りおきを・・」  また人形を動かし始める。糸は見えないが一体どうやって動かしているのだろうか。  今度は右手の男に話しかける。肌の色と耳といいダークエルフのようだ。  「私は・・・」  「存じておりますよ神官様。私は奇術師のマリックと申します。これをどうぞ」  トランプを一枚渡された。ハートのエース。  「あの、これは・・・」  パチンと指を鳴らしたとたんに持っていたトランプがジョーカーに変わっていた。目を離した一瞬で。これはトリックなのかそれとも魔法なのか・・・。  最後に奥にいる男に話しかける。痩せこけてゴテゴテした装飾、まるでインドのコブラ遣いのような出で立ちだ。  「私は灰色神殿から参りました神官です。どうぞよろしく」  「・・・・・・・」  視線すら合わせてくれない。  「・・・ウロゴツム・・」  自己紹介だったのか、後は笛を吹いて猿を操って演目の練習をしているようだ。  なかなかクセの強そうなメンバーだ。とりあえず控え室を後にした。  
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