寸胴でプニプニでツルツルな茶色い生き物

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   彼女が目にしたのは弱った珍しい生き物だった。それはつぶらな瞳で彼女を見上げた。  四足歩行と思われるその生き物は、器用に平たい尻尾でバランスを保ち、後ろ脚だけで立ち微動だにしなかった。  彼が目にしたのは驚いている女の子だった。  驚いてはいるものの怯えてはいない。ただただ自分を不思議そうに見ている女の子を、ついつい見つめ返してしまった。その女の子の瞳の奥には寂しさが宿っていた。
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