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「シエルー、ご飯だよー。今日はね、取れたてのキャベツだよ!」
ニコニコと微笑みながら彼女、エレナはキャベツを千切り差し出した。
シエルと呼ばれたそれはのっそりと動き、エレナの差し出したキャベツをぱくっと口に咥えた。もしゃもしゃとキャベツを食べるシエルを見て、エレナは微笑んでいた。
「どうどう?! シエル美味しい?」
エレナの問いかけに動じずに、シエルはまたも差し出されたキャベツを口にした。
「気に入ったのね! よかった」
キャベツをもしゃもしゃと食べ続けるシエルを見ながら、エレナは相も変わらずニコニコとして、シエルの背中を撫でた。シエルの背中は冷たくてツルツルしている。
「でも残念だなぁ。シエルも私と同じ物食べられたらよかったのに。いつも味もついていない野菜や果物ばかりで飽きない? たまには甘いお菓子とか、温かいご飯とか食べたくならない?」
エレナはシエルに不思議そうに話しかけた。シエルはちらりとエレナを見た後、千切られたキャベツに貪りついた。それでもエレナは独り言のように、シエルに話しかけ続けるのだった。
「私、一緒にご飯食べたいよ。あ、そうか。私がシエルに合わせればいいんだ! シエル、そのキャベツ少し頂戴? ダメ? そんなケチな事言わないでよー」
エレナはまるでシエルと会話する様に、シエルの為に千切ったキャベツを摘まみ口にした。
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