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「うん……。キャベツだね。美味しいけど……、美味しいんだけど! でも味気ない! ロールキャベツとかにしたいなー。そうしたらシエルも食べてくれる? 熱いのは苦手? それならシエルの為に冷ましといてあげるよ?」
エレナの問いかけに、シエルは何も言わない。言わないのではなく言えない。口はあれど、言葉は無いのだ。エレナの言葉もシエルに通じているのか分からない。それでも時々、このシエルという生き物は人間さながらの反応をするのだ。まるでエレナと会話をする様に。
「どう思うシエル? ロールキャベツはお好き?」
エレナはどうしてもシエルと同じ物を口にしたい様で、しつこくシエルに問いかけた。呆れたのかシエルはキャベツからエレナに視線を移した。そして首を横に振ったのだった。さながら人間がそうする様に。
「そう……。やっぱり食べられないのね。残念。でも貴方が傍に居てくれるだけでも、私は嬉しいよ」
エレナはシエルをギュッと抱きかかえるとソファに座り、シエルの事を優しく撫でまわした。
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