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寸胴なシエルの体からは四本の短い足が出ている。胴体から伸びている尻尾はペタンと平たく長い。その口は大きく、くりっとしたつぶらな瞳は見つめられると逸らせない。
まるで子犬のような目をしたこの茶色い生き物が、エレナと出会ったのはつい最近だ。エレナはシエルのフォルムに瞬間、心奪われたのだった。
「シエル、冷たいけど、ツルツルでプニプニしていて気持ちいいね。そのつぶらな瞳で見つめられると、私胸がキューンってなっちゃうの。はぁ、貴方はやっぱり可愛いね」
エレナはギュウっとシエルを抱きしめる。腕の中でシエルを抱いていると気持ちが安らぐのだった。シエルが苦しそうに口を開けているのも知らずに、エレナはシエルの事を可愛がり続けた。
「あ、そうそう。少し調べたの、貴方の事」
エレナは抱きしめていたシエルを一旦解放し、自分の顔と向き合うようにまた抱き上げ、ニコリとシエルに微笑み掛けた。苦しい抱擁から解放されたシエルはおとなしくエレナを見ていた。
「ずっと何ていう生き物なんだろうって思ってたんだけど、貴方、オオサンショウウオってやつ?」
エレナはシエルに小首を傾げまた問いかけた。シエルは宙に浮く体で、尻尾をプランプランと動かしている。
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