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エレナが戻って来たのは日が沈んだ後だった。目当ての薬草を刈り取ったエレナは意気揚々と家の扉を開けた。
そこにはまだ箱がある。本当は夢ではないだろうかと疑っていたエレナは、夢ではないことに嬉しくなり頬を緩ませ興奮した。
誰かからこうやって贈り物をしてもらうのは、エレナにとって久しぶりの経験だったのだ。
だがまだ箱に触ることは出来ない。刈り取った薬草を処理しておかないといけないのだ。昂ぶる気持ちを再び押さえてエレナは箱から離れた。
エレナが初めにその箱を確認してから何時間か経った頃、ガタッという音が家に響いた。丁度処理を終えたエレナは音のした方へ向かった。
その音は箱の中から聞こえている。何か危ないものでも入っているのではないか、とエレナは不安に思いつつも箱のリボンを解いた。
ドキドキと胸は高鳴り、期待と不安を抱えながらエレナは箱を開けた。大きいけれどあまり高さのないその箱からヌッと何かが顔を上げた。
エレナは驚き、開けた箱のふたを持ったまま時間が止まったように動きを止めた。
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