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きていなかった。つぶれた原因は経営難だったらしいが、オーナーが借金苦で自殺したという事実もない。
一緒に行った神谷にもきいてみたが、やはり変な噂は聞いたことはないという。
学食のむかいに座り、俺の話を聞いた神谷は、どこか呆れたように言った。
「ていうか、考えすぎじゃねえの? 俺には怪奇現象なんて起きてないぜ?」
「本当に?」
だったら、なんで俺がこんな目に遭うのだろう。なんだかすごく理不尽だ。
「きっと吉岡に変なことを言われたから神経過敏になってるんじゃねえの?」
神谷は俺が洗面所で考えていたのと同じことを言った。
「いやまあ、確かに最近のお前は死相が浮かんでるっていうか、顔色悪いからな。お祓いっていうか病院行った方がいいとは思うけど」
「死相って」
ハハハ、笑い声をたてた神谷に、思わず突っ込みを入れる。体調は、回復するどころか悪化していた。
笑い終わると、神谷は真面目な顔になった。
「そんなに気になるんだったらさ、あの廃遊園地の写真もう一度よく見てみるか? 変なもんが写ってたら、それこそ神社か霊能力者のところにでも行きゃよくね?」
「一理ある」
俺はさっそくスマートフォンを取り出した。
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