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気づいたら俺はそう叫んでいた。
今までの異変の原因は、こいつに違いない。
俺は校舎を飛び出した。そして駐車場に向かい、自分の車に飛び乗る。
「おい、一体どうしたんだよ!」
心配してくれたのだろう、ついてきた神谷が助手席に乗り込んできた。
車を発進させながら俺は叫ぶ。
「詳しいことは俺もわからねえよ! あのピエロのせいなんだよきっと!」
夕方の六時を過ぎていたが、通りはまだ明るい。駐車場を出て道路へ出る。行きかう人々を見て、俺は悲鳴をあげそうになった。
普通のおっさんや主婦の間に、明らかに人間でないものが歩いていた。黒い霧でできた人型をした者が、何人も。腕のないもの、限界まで首を傾げているもの、立てないのか、道路にはいつくばっているもの。中には、街路樹の枝から逆さまにぶら下がっているのもいた。
道の隅に、黒い靄(もや)のようなものがわだかまっている。溶け残った雪がわだかまるように。
「うわ!」
驚きで、前の車にぶつけそうになって、俺は慌ててブレーキを踏んだ。
「バカ! 危ねえ!」
神谷がどなってくる。
「お前、アレが見えないのか? あの影みたいな奴!」
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