記憶喪失

2/6
前へ
/6ページ
次へ
「雅紀、次の化学の移動教室一緒に行かねぇか?」 「いいぞ。行こうか。」 「よっしゃ、じゃあ早速行くぞぉぉ!」 「あっ、おいっ!」 俺、四宮雅紀、16歳、高校二年生。至って普通の男子高校生だ。 「おい、拓海っ!引っ張るなって!」 「あ、ごめんごめんっ!」 俺は拓海の腕を振り払う。 「なぁ、雅紀…。」 「……何?」 「この授業終わったら俺と……」 拓海が言い終わる前に俺の背後から俺を呼ぶ声がする。 「雅紀くーん!」 その声に恐怖を感じながらも、振り返って見ると見慣れた数人の男子生徒。 「ここで会えるなんて、運命感じるねー!」 「別に…次、移動教室だからだよ。」 「冷たいなぁ…また放課後、いつもの場所にな。ちゃんと来いよ!」 アハハと笑いながら、彼らは自分の教室に戻っていく。 「ごめんね、それでさっき何か言いかけてたけど…何?」 「…いや、何でもない。」 「はぁ?何だよそれ。」 すると、予鈴のチャイムが鳴った。 「やばっ、予鈴鳴ったよ!早く行こう!」 急いで化学室に向かおうとした時、腕を掴まれた。そして、腕を引かれ抱きしめられる。 「…拓海?何?早く行かないと…」 言い終わる前に突然、耳を軽く噛まれた。 「ひっ……」 ビクンッと体が反応した。何…この気持ち……。アイツらにされた時はこんな気持ちにならなかったのに…。拓海は俺の耳を甘噛みしたまま、俺の制服の中に手を入れてくる。 「ちょっ…拓海っ…!」 乳首を触られる。また体がビクンッと反応する。 「ひゃあっ…」 「雅紀…可愛い…」 何度も触られ、あまりにも気持ちよすぎて俺は足から崩れ落ちる。 「……拓海の馬鹿…」 ボソッと呟いた。すると拓海が、口を開く。 「雅紀、今日はもう帰った方がいい。」 「…え……?」 もう帰った方がいい?何で?拓海は、俺の様子を気にせずに続ける。 「何か最近顔色悪いよ、お前。具合悪いんじゃないのか?」 「…そんなに、悪かった…?」 「今も悪い。」 「でも…具合なんて悪くないけど……ぁ…」 思い当たることがあり、思わず声に出してしまった。 「何?やっぱり具合悪いんじゃ…」 「違うよ。悪くはないから。」 「じゃあ、何?」 「……言えない。」 「教えろよ。誰にも言わねぇから!」 拓海の目を見ると、とても真剣な目をしていた。その目ならいいかなと思い、俺は打ち明けた。 「廊下で俺に話しかけた奴らいただろ?アイツらに、ヤられてるんだよ。」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加