記憶喪失

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「……は?ヤられ…て……はぁ!?」 「……っ…」 突然、腰に激痛が走って痛みに耐えられずしゃがみこむ。 「おい、雅紀!?」 「ご、ごめん…大丈夫だから……」 「どこがだよ。大丈夫そうに見えないんですけど?」 「本当に…大丈夫だから…。」 拓海に迷惑かけるわけにはいかない。俺は、無理やり笑顔を作る。上手く笑えてるかは分からなかったが、何とか頑張った。そして気づけば、チャイムが鳴って授業が終わった。 「あ…化学の授業が……」 「こっち来い、雅紀。」 「…え?ちょ…拓海!?」 拓海は、俺の腕をぐいぐい引っ張りどこかへ連れていこうとする。激痛に耐えながら、連れてこられた場所は、屋上だった。 「…え、屋上…?何で……?」 「アイツらに会わせない為。」 「……!」 拓海はそう言った後、俺の方に振り向く。とても真剣な目をしていた。 「拓海…気持ちはありがたいけど、別にここまでしなくても……。」 「俺が嫌だからやってるんだよ!」 拓海は、そう言って俺の方に近づいてきた。俺の顔に手を添え、拓海の顔が近づく。そして、唇同士が触れた。…え……? 「…拓海…一体何がしたかったんだろう?」 放課後、俺は部活動に励んでいた。テニスのラケットを持って素振りをする。あの後、結局「ごめんごめん!冗談だよ!!アハハ」と拓海は笑っていた。けど、冗談なんかで拓海が声荒らげたり、キス…とかするかな…?色々と悩みながら素振りの練習をしていると 「先輩っ!危ないっ…!!」 「……え?」 一年の声がして振り向く。すると、顔面近くに野球のボールがあり、見事顔面に直撃。ボールの速度も速く、かなりの激痛だった。 「……っ!」 「先輩っ!大丈夫ですか!?」 一年は、慌てながら俺の元に駆け寄ってくる。 「あ…あぁ…大丈夫だから。気にしないで。」 けど、あまり大丈夫ではなかった。鼻血と歯が折れて出血…。鼻血だけならまだしも…歯まで折れるなんて……。 「ごめん、悪いんだけど一人で練習してもらっててもいい?」 「あっ、もちろん!気をつけてくださいね?」 「うん…ごめんね。」 急いで、保健室に行く。ノックをして中に入ると、誰もいなかった。 「…どうしよう……先生いないし…自分でもどうしたらいいのか……」 すると、背後から聞きなれた声がした。 「雅紀?」 「え…。」 振り向くと、拓海と一人の女子生徒がいた。
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