記憶喪失

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拓海side 突然、雅紀は大声を出しながら俺を突き飛ばした。雅紀は華奢な体で、そのうえ俺よりも力がない。が、俺を押した力はとても強かった。押された拍子に尻もちをつく。 「いっ……たぁ……」 すると、目の前でガシャガシャと鈍い音を立てながら、鉄柱が数本落ちてきた。雅紀を下敷きにして… 「雅紀…!?雅紀っ……!!」 俺は急いで立ち上がり、鉄柱をどかそうとするが…鉄柱は重くて動かない。周りの人達も騒がしくなるが、俺はすぐに助けを求めた。 「誰かっ!救急車呼んでくださいっ!!鉄柱の下に人がいるんです!!」 すると、すぐに周りの人達は手伝ってくれた。 「わ、私っ!救急車呼びますね!」 「お願いしますっ!」 一人の女性が、救急車を呼んでくれた。そして、周りにいた男性の方々も鉄柱を動かすのを手伝ってくれた。雅紀を救出するのと同時に、すぐに救急車が来てくれた。雅紀はかなり危険な状態だ。早く治療をしてほしい。雅紀は救急車の中に入れられ、俺も保護者の代わりに、救急車の中に入った。そして数分後、病院に着いて雅紀はすぐに手術室に連れて行かれる。 「あ、君。あの子のお友達?」 「…はい。」 「今、お友達はお医者さんに見てもらってるから、彼の保護者の方に連絡を入れて欲しいんだけど…いいかな?」 「…はい…分かりました。」 俺は病院の電話を借りて、雅紀の両親に連絡をする。電話はすぐに出てくれた。 「はい、もしもし。」 「もしもし、明日香さん?」 「あら、もしかして…拓海君?」 「はい。あの……」 俺は全て話した。雅紀の母親、明日香さんの声は震えていた。 「今すぐ、そっちに向かうわ!」 そう言った後、すぐにブツっと音を立てて電話を切られた。数十分後、明日香さんが来た。 「…明日香さ……」 「なんてことを……」 「…え…?」 明日香さんは声を、そして体を震わせながら右手を出して俺の頬を叩いた。 「……っ!」 「うちの雅紀になんてことをしてくれたの!!あなたが気をつけていればそれでよかったのに!!」 明日香さんが、俺の胸ぐらを掴んで殴ろうとした時お医者さんが止めに来た。 「お母さんですか?今ちょうど、息子さんが目を覚ましたのでどうぞ。」 そう言って、明日香さんは手を離し病室に向かう。俺も続いた。中に入ると雅紀がいた。 「雅紀っ!よかっ……」 明日香さんが言った直後 「……誰?」 その言葉に、全員息を飲んだ。
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