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魔王城の異変
大きな軋み音を上げて、魔王城の門が両開きに全開する。
そしてその直後、俺の頬が濃密な魔素を含んだ空気に嬲られる。
もう何度も体感している事ではあるが、やはりこればっかりは慣れそうもないな。
俺はそんな事を考えながら一歩、魔王城の中へと足を踏み入れた。
「……ん?」
何回も見ている風景の中で、今までにない違和感に俺はそう漏らして足を止めてしまった。
周囲に立ち込める空気はいつもの物。
でも、そこで感じられる雰囲気がいつもとは違っていたんだ。
「……敵意が……感じられないだと……?」
そうだ……。いつもなら、招かれざる客である俺に向けて至る所から……いや、魔王城全体から俺に向けて、威圧される程の敵意が向けられていた。
それが今回に限っては、全くと言って良い程それを感じる事は無かったんだ。
「……やべぇな……。こりゃー、本格的に……あれか?」
俺はある考えを思い浮かべて、ゲンナリするそのセリフを口ずさんだ。
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