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「ここも……か……」
魔神将の守護する部屋の入口。
ここには今まで「巨石の門番」が鎮座していて、何度倒しても俺が来る度に復活していた。
そして俺は毎回、その石の門番を倒さなければならなかったんだが……。
今は何処にも、その姿を見る事が出来ない。
先を進む分には有難い事この上ないんだが、此処まで来ると不気味と言っても過言じゃない。
俺は一切の抵抗を受ける事も無く、かつて「白魔神将ヴァイス」が守護していた扉を開けた。
やはりと言おうか当然なのか、魔神将の部屋にも人影は無かった。
さらにその先の部屋……「黒魔神将ニゲル」「赤魔神将ベリメルオ」「青魔神将アズゥ」「緑魔神将アクダル」「黄魔神将アマレオ」「土魔神将ゼムリャ」「水魔神将ヴェッダー」「火魔神将フエゴ」の部屋にも誰もおらず、何の仕掛けもされていなかったんだ。
此処まで来れば、流石に「魔王城移転説」が俺の脳裏で思考の大半を占める様になっていた。
ここまで来るのに、ほんの2時間程度しかかかっていない。今までは半日以上掛かっていたにも拘らずだ。
今までは戦闘に費やしていた時間を、そのまま移動だけに使用出来たんだ。
当然、疲労と呼べるほどの消耗も無い。
これは本当に、今までに無かった事だった。
ほんと……毎回こうだったら、どれ程良かった事か……。
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