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「アネモス、ウラノス、ゼーよ。此奴はそち達では手に負えぬ相手よ。ここは主の言う通り、退いてはいかがか?」
……なんだ……? 何の話をしているんだ?
俺の耳が歳のせいで……いや、それは兎も角として、俺の耳がおかしくなっているんじゃ無ければ、奴らは俺との戦闘を避けようとしているのか?
それも奴らの主……つまりは魔王の指示だと!?
「……ナダ様……。それは聞けませぬ。我等は先に散って言った同志たちの為、ここで退く訳にはいかぬのです」
「……仕方の無い事よ……」
抑えてはいても強い語調でそう答えた3魔神将……アネモスだかウラノスだかゼーだかは分からないがその誰かの返答に、ナダと呼ばれた魔族が半ば諦めた様にそう呟いた。
それはまさに、俺と3人の魔神将の戦闘が決定した瞬間だった。
まぁ……この魔王城に来て戦わなかった事も無いんだがな。
「さて……此方は準備が万全であるが、そちらはどうであるか? 疲れているのならば、時間を空けても構わないのであるが?」
何とも拍子抜けする対応だな……。
このまま奴らと話していると、どうにも戦闘意欲に影響しそうだ。
戦わないってんならそれでも構わないんだけど、結局戦わないといけないならばこれ以上気の抜けるやり取りはごめんだ。
「……必要ない」
だから俺は、またも言葉少なくそう答えたんだ。
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