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それにしても……どうにもやりにくいな。
魔族のやり取りも然る事ながら、これから始める戦闘を高みの見物とされる事も気にかかった。
本当なら、出来れば手の内は晒したくない。
こちらの能力だけが詳らかにされて、相手の能力が分からないってんじゃー、これからはハンディキャップマッチを強いられるようなもんだ。
それでも、この戦闘を回避する事は出来ない。
それは、何よりも3人の魔神将が戦いたがっているってのもあるけど……。
それよりも何よりも、俺がこの魔界に……そしてこの魔王城にいる理由に依る。
俺は何としても立ち塞がる相手をなぎ倒して、魔王に会わなければならないんだ。
「我は風魔神将アネモスなりっ!」
「俺は海魔神将ゼーッ!」
「この俺様は、空魔神将のウラノスだっ!」
うん、こうやって奴らの名乗りを聞くと、なんだか安定の定期って感じで安心するな。
ただし、気が休まったのは此処までだった。
―――……最後に何とも……厄介だな……。
奴らが名乗ったのは、風と海と空。
その特性は何となく分かるものの、どれも俺と相性が良いとは言えない上に、奴らの相性はナチュラルに良い。
そして何よりも。
「我等は3人で貴様と対する事にしたっ!」
「本当は俺一人でも十分なんだがなぁっ!」
「これも魔王様の命ならば仕方がないと言うものだっ!」
どうやら今回も、3人掛かりで襲ってくるようだった。
互いに干渉しにくい属性……それどころか、普通に相乗効果を齎す奴らがタッグを組んで襲って来るんだ。
これは……激戦苦戦の予感しかしないな……。
それでも。
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