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―――何をしているんだ?
「あなたに回復魔法をかけているの」
―――回復魔法? でも怪我なんてしてないけどな……疲れが酷くて体中が悲鳴を上げているけど。
「回復魔法は、何も外傷を治癒するだけじゃないの。出力を弱く絞って注力すると、精神疲労にも効力があるのよ」
―――へぇ―――……流石はマリアだな。
「あっ、漸く目が覚めたわね? 全然起きないから、どうしたのか心配したんだから」
「……うむ。あれ程の力を見せたのだ、疲れもするだろうが目覚めないというのは尋常ではないからな」
「全くだ。もっともそのお蔭で俺達は無事だし、マリアに膝枕してもらえるっておまけつきなんだから羨ましい限りだけどな」
―――ああ……エマイラ……ロン……それにライアンか……。
「あたし達の名前が分かるって事は、どうやら頭はいかれてない様ね」
「……目覚めたばかりだというのに、容赦ないな」
「ロンよ、エマイラはこれでも心配しているのさ」
俺の周りでは、仲間達が動けない俺を余所に勝手に盛り上がっている。
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