そして勇者は先生に……

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『それは自業自得です。先生も良いお年なんですから、家事をしてくれそうなその……奥さんや……恋人ぐらい作らないんですか?』  まぁ! なんてことを聞くんでしょう、この娘は!  俺が39歳で独身、彼女いない歴も年齢通りと言う事を知らないのか!?  ……いや、知らないか……。言ってないからな……。 「……そんな暇無かったからな。勇者は何かと忙しいし、色々と犠牲にしなきゃならない事があるんだよ」  やべ……言ってて悲しくなって来た……。  そんな俺を嘲笑う様に……かどうかは定かではないが、画面の向こうではイルマが妙にウキウキした表情をしていた。  そんなに独身アラフォー勇者の生態が面白いのかねぇ……。 『それじゃあ仕方ないから、また部屋の掃除をしてあげます。すぐには無理ですけど……近々また、プリメロの街に戻りますから』  そしてそれだけを嬉しそうに言うと、いそいそと通信石を切ってしまったのだった。  何が楽しくて男所帯のあんな「汚部屋」に来るのか分からないけど、実際イルマに掃除や洗濯をして貰えるのは有難い。  まぁ……強要している訳じゃないから良いよな?  ただし、余り頻繁に来られると困る事情もある。  それは……周囲の眼……と言う奴だ。
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