そして勇者は先生に……

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 独身男の部屋……それも、随分と年の離れた女の子が足しげく出入りしていると、在らぬ噂を流されてしまうのだ。  もっともそれに関して俺は問題ないんだが、嫁入り前のイルマなんかは大問題だろう。  特に大家さんの奥さんなんかに目を付けられようものなら、どんなある事無い事が広められるか分かったもんじゃない。  それにマルシャンだ。  面白いネタに飢えているあの辺境道具屋主人(・・・・・・・)に知れでもしたら、どんな冷やかしを合うのか考えただけでも面倒臭い。  俺はそれ等を想像しただけで、要らぬ気苦労から盛大に溜息を吐いてしまったのだった。  おっと、こんな所でテンションを下げている場合じゃないな。  目の前には勇壮な魔王城。  今から俺は、此処に入り「魔神将」と戦わなきゃならない。  今回はどんな戦いが待っているのか……考えただけで憂鬱になるけど、これも勇者の使命だ。  俺は意を決して、魔王城の門を開け放った。
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