役所仕事

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「先生!痛い!」 「何?陣痛か、里子?」留吉が焦って聞いてきた。 「違うの、アンドロイド先生の手がお腹を捻って痛いの!」 「先生、痛いってば」 「ダイジョブ・ダイジョブ・ダダダダダイジョウブ」 プシュー!アンドロイド型医師の電力が落ちた。 「なんだ?コイツは」留吉がアンドロイド型医師の背中を見て驚いた。 「オイオイ、2270年型の古い80年も前のアンドロイドだぜ!」 「おかしいと思ったんだよ、喋り方も片言だし、この野郎!いっちょ州政府に抗議してやる」 留吉はスマホで州政府国土省福利課厚生部自然分娩係に怒りの電話をした。 「ハイお電話ありがとうございます、こちらは地球連邦政府東アジア州日本地区北陸街担当国土省福利課厚生部自然分娩係です、この通話は20秒毎に100円かかります、御用の方は1のボタンを念じて下さい、また、旧型電話機での接続はボタンを押して下さい、こちらは地球連邦政府東アジア州政府日本地区北陸街担当国土省福利課厚生部自然分娩係です」 「ナゲェーよまったく」留吉の怒りは爆発寸前だった。 「エエット、1のボタンを押すんだなぁ」 「ほれ1を押した」ワナワナ震える指で留吉はアイホンダ8のスマホボタンを押した。 「お電話ありがとうございますこちらは地球連邦政府東アジア州政府日本地区北陸街担当国土省福利課厚生部自然分娩係です、妊娠に関する事は2を、出産に関する事は3を、その他の事は4を念じて下さい、また旧型電話機での接続はボタンを押して下さい」 留吉はすかさず4のボタンを押した。 「地球連邦政府東アジア州政府日本地区北陸街担当国土省福利課厚生部自然分娩係です、大変申し訳ございませんが、ただ今昼休みとなって居ります、午後1時にお掛け直し下さい、こちらは、地球連邦政府東アジア州政府日本地区北陸街担当国土省福利課厚生部自然分娩係です」 「この野郎・・・役所仕事だけは全然進歩してねーじゃねーかこの野郎!」 「お父ちゃん・・・痛い!イタタタ!先生の手がお腹に食い込んで!」里子は悲鳴に似た声を出した。
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