334人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんなところで再会するとは思わなかったぜ、神崎」
「俺もお前なんかと会いたくなかったさ」
佐久間の目尻がピクリと痙攣する。神崎の後ろで隠れるように立っているハルカを一瞥した。
「いくら連絡しても俺が反応しねぇから、神崎に浮気調査の協力を依頼したってことか? で、無事、現場を押さえられたってわけか」
「しゅ、秀一、どうして」
「普通さ、分かるだろ。電話してもラインしても返事がない、既読にならない。『あ、避けられてるんだ』って馬鹿でも気付くぜ」
「避けてた……の」
「だって、お前、鬱陶しんだもん。いい歳した男のくせにウジウジして、すぐメソメソして、お前と一緒にいたら辛気臭くなるんだよ」
「……でも、秀一はそういう僕を好きになったって」
「んーまあ、顔はその辺の女よりは綺麗だからよ、いけるかと思ったけど、俺もそろそろ結婚とか視野に入れたいしな。あきらかにお前はナシだろ」
神崎が先に動いて佐久間の胸ぐらを掴んだ。佐久間はそれに物怖じすることなく、神崎の顔面に向かってツバを吐きかける。
最初のコメントを投稿しよう!