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「部外者は引っ込んでな」 「栄田に頼られた以上、俺は部外者じゃない。栄田はお前が無事かどうか心配してたんだよ。栄田の気持ちも知りもしないで、よくそんな残酷なことを言えるな。クズが」  神崎に見下ろされながら、佐久間は鼻で笑った。 「なんだよ、嫉妬か? 俺がハルカを落としたのが、ハルカが俺を好きなのがそんなに悔しいか。そりゃそうだよなぁ、ずーーっと、ハルカを好きだったもんな?」  カッとなった神崎は佐久間を思い切り殴り付けた。佐久間は尻餅をつき、唇の端から血を流したが、やり返すこともせずニヤリと口角を上げた。佐久間の口から神崎の想いをバラされたことに腹を立てたわけじゃない。なんの関わりもなく、たった今、初めて言葉を交わした知人以下の存在である佐久間に、ハルカへの想いを気付かれていたことが屈辱だったからだ。再び拳を振り上げたところを、ハルカに止められた。 「神崎くん! もういい、もういいよ。……充分、分かった」 「栄田も一発や二発、殴ればいい」  佐久間は地べたに座り込んだまま胡坐をかき、挑発的に頬を指差した。 「どうぞ、殴ってくれていいぜ。それでお前の気が済むならな」 「……僕のことはたいして好きじゃなかったってことか……」 「悪いな」  と、悪びれもなく言うのである。ハルカは震える声で「さよなら」と残して走り去った。 「栄田!」 「追い掛ければ? アイツのこと好きなんだろ? ああ、アイツの良いところひとつ教えてやろうか。フェ|ラは上手いぜ」  神崎はもう一度、佐久間の胸ぐらを持ち上げて拳を打ち込んだ。たった二発では気が済まないが、ハルカを放っておけない。神崎は急いでハルカのあとを追った。
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