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「神崎先生、相変わらずクールだね。さっきの女の子、ずーっときみの顔を不思議そうに見てたよ」 「わたしは『子ども』を診てるんじゃないのでね」 「ちらっと聞こえたけど、三度の熱傷? 誰が消毒なんかしたの」 「初診は二日前と言っていたので、岡崎先生ですね。頭の古い年寄りは治療も古い」  吉田が慌てて人差し指を立てて「シッ!」と言うので、神崎は「いませんよ」と鼻で笑った。 「けど、神崎先生なら聞こえてても問題ないか。ここでの勤務はほぼボランティアだもんね。医院のほうはどうなの? 患者たくさん来る?」 「それなりに来ますよ。まあ、大半は美容目的ですが」 「いいなぁ、僕も開業しようかなぁ」 「わたしはもっとやりがいのある仕事がしたいですね。それができれば医院でも総合病院でもどちらにいてもいい」 「やりがいのある仕事って?」 「そうですね。いっそ自分の理想の形を作るためにバラバラになった人体を再建してみたいです」  シン、とその場が静まった。 「あ、あ~……さすが腕のいい先生は違うなァ。おっと、ではちょっと医局に戻りますんで~……」  そそくさと去る吉田を、神崎はまた鼻で笑った。
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