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「いいのかな。スタッフだけが入る部屋でしょ?」
「休診日だから誰もいない。そこのテーブル席に座ってて」
「綺麗な病院だね」
「まだ開業して二年だからな」
「でも神崎くんの噂、よく聞くよ。腕が良くて人気のクリニックだって。ネットの口コミも高評価なんだね」
ハルカがネット検索までしてくれたのかと期待したが、「知り合いが言っていた」と続けられて少しばかりガッカリする。神崎はドリップコーヒーをハルカに差し出し、向かいの席へ腰を下ろした。
ハルカが訪ねてきてくれたことは純粋に嬉しいが、ただの世間話をするためにわざわざ来るはずがないというのは分かっている。本題を聞きたいような聞きたくないような、だが、さっきからやたら目を泳がせたり、ちまちまとコーヒーを忙しなく飲む様子が落ち着かなくて、早々に話を振った。
「今日はなんの用で?」
「あ、えっと、実は……相談、で」
「相談? どこか体の具合でも?」
「ううん、違うんだ。その……佐久間くんのことで……」
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