餌車場

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「バイオマス燃料の効率化を図ったAIが、まさか人間を燃料化するとはな」相槌を打つように、口の前で草が上下する。 「そういうあんたはなんなんだよ。そんなAIを開発した、悪の科学者だとでもいうのか」 「わしは、半分喰われて、逃げてきたんだ」 「だいたい、その草はなんなんだよ」 「麻薬だよ」 「話にならない」 「ほら、また一人、お前さんみたいなのが来たぞ」  男の示した先を見ると、駐車場の彼方から一台の真っ白なセダンが猛スピードで走ってきた。突然、急カーブを切ったかと思うと、同時に扉が開き、中からスーツ姿の男が転がり落ちてきた。セダンはスピードを落として男の上に覆いかぶさり、そのまま停車した。 「あのまま三時間、じっと待つんだ。何を待っているのかは知らんが、それが奴らの食事のマナーらしい。あるいは、食文化と言うべきか」 「人間を車から叩き落して、その上に車を停めるのが食文化、だと。」 「そうだ。文化っていうのは、要するに、無駄を愛するってことだからな」  俺は両手を上げて首を振った。これ以上の話は無意味だ。そんな戯言に付き合ってられるほど、暇じゃない。俺は、先輩の所に実験機材をもらいにいかなきゃいけないんだ。 「どうするつもりだ」 「でていく」 「どうやって」 「車をもらっていくさ」     
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