第四難、王子様とお城━訪問夜━

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第四難、王子様とお城━訪問夜━

「じゃあん!ここが僕のお城だよ!」 王子はとびっきりの12歳と言うには幼い笑顔で俺にお城を紹介した。 俺らは馬車から降りて、城の入り口……城の玄関みたいな所の前に立っていた。 前世で生きてた頃の実際の建造物のデザインを拝借したものとはいえ、俺がこの城を描いたようなものなので、俺はそんなに喜びは…… 『で、でけぇ……綺麗だ……やば感動……嬉しい…』 ……めっちゃ喜びました… いや、だって俺の描いた城がこんな立派に…… ああ……感動……嬉しすぎる…… ああああああ 俺は大人げなく子供のように全身から喜びが溢れてるように喜んだ。まあ、体は子供なんだが。 「……あはは…喜んでもらえて嬉しいよ!じゃあ中に入ろっか!」 王子は、俺の様子に驚いたのか、顔を引きつりながらも笑顔を絶やさずに城中へ案内した。 ……おい、今、王子少し引いてたよな……なんだよ今のちょっとの間は……! 『あーごめん……なんか騒ぎすぎた?引いたよな……』 王子からの印象を、ブックに書かれていない時期の間に悪くしたくなかった俺は、すぐに確認をとった。 「え、ううん!こんなに喜んでもらえるなんて思わなくて……びっくりしちゃったんだ……なんかごめんね!」 『いやあ……それならまあ、良いんだけど……』 「うん!ありがとう!」 ……うーん。 なんか俺、王子と話してる時めっちゃ王子に謝られてる気がする。そして、感謝されてる気がする。。 んー、なんでだ? 気になるんだけど……そんなに謝罪の王子様って感じじゃなかったような気がするんだけどなあ…… うーまあ、気になったなら聞かなきゃな! 取材だ!取材! 『なあ、王子様はなんで素性の分からない俺に対してそんなに腰が低いんだ?』 「ええ?な、なんでだろう……ごめんね……気を遣わせちゃったかな…?」 まただ……これは、アレだな 謝罪と感謝を徹底するように躾られてるか、 虐待みたいななんか恐れてるものがあるかだな! 子供なのだからそんなにいちいち相手の言動に怯える必要もないのにな…。 『…また謝ってるぞ……?』 「ああ……ご、ごめ……あっ……ッ」 真面目で優しい第一王子のことだから、きっと父親の厳しい教育でも我慢してきていたのだろう。第一王子とその父親との関係描写は漫画内ではしていないから、父親の在り方とかは、俺には分からない。しかしまあ、この俺が、真面目で優しく王族らしき王子の姿として設定したんだ。後付けにはなるが彼の過去が厳しい教育下にあるものとなるのは必然だったのだろうか。 いや、真面目で優しい彼なんだ。ひと様の言動に怯えてしまうような厳しい教育がなくとも、誠実に生きられるはずだ。それに、子供は引きつって笑うべきでないんだ。 『ああ、良いよ良いよ!謝ることに怒ったりなんかしないから!ただ純粋に気になっただけだから!その、……躾とか厳しいのか?』 聴きずらい話ではあるし、俺のこれからの人生を揺るがすことになるかもしれなかったが、不安定な心を抱えた子供を目の前にすると、単刀直入に親の教育について俺は質問してしまっていた。 「え、うーん、厳しいとかよく分からないけど…僕は第1王子だし、お兄ちゃんだから、皆から愛されて憧れられなくてはならないんだって…だから、その為に、お父さんの手伝いで夜の偵察に行ったりもしてるんだ!」 『おお……大変だなあ…あんまり無理すんなよ…何かあってからじゃあ遅いからな!まだ若いんだし今しか出来ないこととかも楽しまなきゃな!』 あー… お貴族様あるある?…そして、長男あるあるだな。 教育の話について話を振ったのは俺だが…、やっぱり…これはまあ、俺にはどうしようも出来ないよな…。うん!無理だよな!俺は部外者出しな!この王子が苦痛でないって言うのであれば、俺が入っていい話でもないか!そうだよな! つーわけで王子は王子で頑張ってください!以上です! 俺は自分の親のことも思い出しながらも、自身も親との関係が上手くいかなかったままお別れしたことを思い出し、王子には手助けをできるような立場などではないことを思い知らされた。そして、軽い励ましの言葉をかけただけだったのだ。 「あーくん……ありがとう……」 王子は顔を赤く染めた。 「やっぱりあーくんは優しいよ……」 俺のこんな軽い言葉でも救われたりするんだったら、まあ王子は大丈夫か。 王子は強い人なんだな。まあ、結局今はこういう姿でも8年後には、逞しく凛々しいお姿の王子になっているんだものな。 俺は王子に対して、子供のように感じ接していたが、王子の強さに気付き尊敬し、羨ましいと感じるようになっていた。 俺の作ったキャラなのにな…いや、だからこそ強いのか…。 次第に、嫉妬心が募っていくのを感じた俺は、『そうか?ハハ!ありがとな!』と、軽く答えた。そして王子はあどけなく「うん!」と、俺の言葉に返したのだった。 よし!取り敢えずこの王子様には謙遜とか遠慮とかは無しで行こう。 王子の背景とか気になる点は幾度とあれど俺は部外者であるし、今は俺は子供の姿なんだ。 もう王子様に対してはガツガツ行こう。 遠慮なく行かせてもらいますぜ! そして今日はもう夜も遅いので、城の案内などは明日にすることとして、俺たちは今日はもう寝室に行って寝ることにした。 「ここがあーくんのお部屋だよ!どう過ごしても構わないからね!」 『うわ、広い……え、しかもバスルームまである……』 俺は用意してくれた豪勢な客室に入るなり、部屋の構造を確認した。 入り口から入って5mくらいの通路があって左手に大きなドアがあり、そこはバスルーム、海外にあるスイートルームのようで、湯に浮かべる用だと思われるバラやレモンなど花や果物が置かれていた。そして真っ直ぐ行くと大きく開かれた部屋が1つドーンとあり、真ん中には大きなキングサイズくらいのベッド、そして横にはテーブルなどホテルにあるようなものが置かれていた。ただし、ホテルにあるようなものと言っても、俺の目から見ると、その何倍も高価なものだと思う。王族は恐ろしいな…… 『わっほーい!でっかいベッドだぜ!!』 俺は大きなベッドにダイブした。 「ふふ、もおー、あーくん騒ぎすぎ!はは!」 『だって、こんなでかいベッドさあ……』 ざわ ふかふかの心地のよいベッドにいるにもかかわらず悪寒が走る。 え、何…… う…… ……ッ!! 突然、俺の頭の中にあのローゼの館で起こった数時間前の出来事が流れてきた。 そうだ。そう言えば、このくらいの大きさのベッドだった。 というか、そういえば、俺は襲われていたんだよな。 ……ッ ダメだ、一度アイツのこと思い出したらアイツとやったことが頭から全然抜けない。 ……さっきまで平気だったのに、、 アドレナリンどばどばで気づかなかったのかな… ……怖い…… 無理だ…… こんなとこで1人で寝れるはずがない……
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