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デニスが決断した。
「サージン、ポーン、シリア。3人でやれるか?」
彼の問いに、シリアは胸元からナイフを左右に2本取り出し、余裕の笑みで返す。彼女は最適な場所まで即座に移動すると、背丈のある草陰の前で腰を落としがらタイミングを計り始める。
最も近い敵までおよそ10m。
相田は真上を見上げた。気のせいか、ポーンとサージンがいる様子が感じられなかった。
「少しは気づけるようになってきたか?」
ザイアスが大きな体を低くしながら嬉しそうに隣で笑う。どうやら相田の勘は当たっていたらしく、2人は既に移動していたらしい。
シリアがデニスの目を見る。
デニスは広場の様子を見ると、すぐに頷いた。
「ギャッ!」「ギギィッ!」
シリアの投げた2本のナイフが最も近くにいた2匹のゴブリンの頭と首元を小汚いローブごと貫く。さらに他のゴブリンが仲間が襲われたことに気づく前に、1本の巨大な弓が直線上にいた2匹のゴブリンを貫き、残りのゴブリンも声を出す前に、別の方角から跳んだナイフで胸を突かれ絶命する。
まるで声を掛け合ったかのように6匹のゴブリンがドミノ倒しのように順々に倒れる。
「………すげぇ」思わず声が漏れる。
相田は自分が見た光景を信じるのに数秒の時間を要した。シリア達は並々ならぬ強さを持っていると相田は以前から感じていたが、その姿を実際に見たのはこれが初めてだった。
3人は声を掛け合うこともなく、狙う敵とタイミングを決めていた。
まず副長のシリアが隊長であるデニスの側に立つことで、最初のタイミングを担当し、狙う敵は最も近い2匹。そしてポーンの大型弓の性能から、1射で2匹を仕留められる位置に、そして残りが最も遠い位置にいる2匹をサージンが、という思考を声も出さず一瞬にして連携していたのである。
まさに経験からなせる神業であった。
デニスはサージンの合図から周囲を警戒しながら中央の石壁に集まるよう全員に指示した。
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