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第二章 障壁
ボクが凪子と幸せな生活を送っているところへ、時子がやって来た。
この歳下の従姉妹の横暴さは、花子叔母さんの巨大な身体を超えるほどであった。
横暴で横柄で、お節介以外のなにものでもなかった。
予告もなくボクの部屋へやって来ては、掃除してやっているといいながら、いろんなものを奪い取って行った。
たまには栄養のあるものを食えといって、毒を少しずつ混ぜているようだった。
ボクが死んだら父さんの遺産を伯母さんとせしめるつもりなんだろう。
今回もそうだった。
朝となく昼となく、平日となく休日となく、予告なくやって来るもんだから、身の隠しようがなかった。
そう、凪子を隠しておけなかったんだ。
時子はがなった。
凪子を見るなり、そんな汚いもの、捨て置きなさいと。
なんと時子は凪子の目の前で彼女を侮辱したのだ。
もちろん凪子は反論しない。
あんな卑しい女に言葉なんてかける必要はないさ。
それでも、凪子はとても悲しそうな表情を浮かべた。
ボクは時子が許せなかった。
だから時子を平手打ちしてやった。
そして思いっきりの侮蔑の言葉を並べ立ててやった。
凪子の分まで、汚い言葉を時子に浴びせてやった。
泡を吹きながら、大きな声で、喚き散らすように時子を怒鳴りつけた。
時子は途中で泣き出した。
でもボクは止めなかった。
そしてついに、時子はボクの部屋から飛び出していった。
分かってくれるだろう、凪子。このとき、ボクがどんなに誇らしい気持ちであったか。
ボクは初めて誰かのことを守り通したんだよ。
しかもそれが君だったんだ、凪子。
ボクは愛する人をこの手で守ったんだよ。
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