夜空に鳴く声

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夜空に鳴く声

私は、昔から告白ができなかった。愛の告白が。 小学生のときも好きな人に結局好きだと言えずに、その人は転校していってしまった。 高校生のときに好きになった相手もそう。 最後まで好きだと言えずに別々の大学に進学して、徐々に記憶は薄れていった。 私はいつも「好き」という気持ちを意識し始めても一日に何回か、 ただその人を見ることができれば幸せだった。積極的に親しくなろうとは思わなかった。 拒否されない安全な私の想像の中で、その人のことを思い描いていた。 好きな人のことを想う気持ちを自分の中だけであたためていい気分になっていた。 そのまま成長した私は、やっぱり自分から告白できない人間になってしまった。 そしてずっとその人のことを見ているから、その人が誰かを好きになっていることにも気づいてしまう。その人の恋を知ってしまうのだ。
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