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恐怖に触られたように心臓の鼓動が早まり何処からか寒気が流れてくる、未知の恐怖という代物に居てもたってもいられない。
混乱していて頭がついていかないのに、目の前に何かが存在している事に気付いてしまった。
何かの扉だ。
透けて向こう側が見える、不気味な扉が空中で今にも慟哭をあげようと静止している。
「…コ……」 「…チ…」
透けた両開きの扉の向こうから何か声が聴こえてきた。
扉を注視すると、見た目は外国の両開きの扉で骸骨と天秤をくっ付けた家紋のようなマークが微かに描かれているのが認識出来る。
全身に汗が伝うように痺れが走り、濡れた掌を素肌をつけられたように冷やりとした恐ろしさがこみ上げてくる、恐怖を感じる神経に毛穴から入って針を突き刺さしてくるようにさえ感じた。
「幽霊なんかいるわけ無いんだよ! 悪夢だ! 悪い夢だな、そうだよ夢だよ、幻覚だよ、俺は疲れてるんだ、やっぱ過労だったかな、明日の帰り医者に行こう」
神流は泡のように立つ鳥肌や震えを否定し思考に蓋をしっかりすると、ドアをバタンと締めカギとドアチェーンをしっかりかけた。
スーツとセカンドバッグをその場に置くと、おたつきながらスマホの明かりで冷蔵庫を探し出した。
中から缶ビールを取り出し、乱れた呼吸を直してから一息で飲み干す。
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