死霊術士は起きられない

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  「魔王を倒した勇者は、その後どうなったのだ」 「勇者様は、国を一つ与えられて王様になったよ。今も名君と呼ばれて変わらず統治を続けている。十年前にお孫さんが生まれて、あたしもそのお祝いの祭りに参加したことがあるんだ。この村も領土の中に含まれていて、十日ほど歩いた場所に王様が住む都があるよ」 「そうか……勇者は健在か……」  ビャコウはつい昨日のことのように勇者との戦いを思い出していた。  死霊術は切り裂かれ、操魂ノ技も全く通じなかった。勇者の3人の仲間には痛手を負わせることはできたが、全体で見れば完敗もいいところだった。  あの無茶苦茶な強さは今思い出しても寒気がする。何度戦ったところで勝てる相手では無いだろう。 「勇者……五十年……ん?」  だがしかし待て。  五十年経ったということは、勇者もまた五十年分歳をとっているということではないか?  全盛期の勇者には歯が立たなかったが、年老いた今なら力が落ちて勝ちの目も十分にあるのではないか?  あの頃の勇者が十代中盤だとしたら、今はすでに六十代。人間どもで考えるなら、老いさらばえたと言ってもおかしくない。  対して、自分は全盛期の力を維持している。否、死を経験したネクロマンサーは大きく力を上げるとも聞いている。強くなった自分と死にかけの勇者が戦い、果たして負ける目などあるだろうか?  いや、ない!  
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