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次の日の晩、目が覚め、気付くと祖父が居なかった。
俺の寝室の隣部屋、すなわち祖父の部屋のドアは閉まっていたけれど、中から一切の音がしなかったので、俺には祖父がいないと知ることが出来た。
祖父がどこかに勝手に移動して寝てでもいるのではないかと疑い、俺は以前まで父のものだった部屋を静かに開けた。
全ての窓は鍵までしっかりと閉まっている。
が、俺は正面にあった窓を音を立てて開けた。
夜の生暖かい風が不意に吹き込んできた。
俺はその窓から下を覗き込む。
そこには、派手に潰れて、トマトのように弾け飛んだ頭とともに、祖父がいた。
もはや「祖父だったモノ」に過ぎないそれは、何かを訴えるように見え、俺はその訴えを理解することが出来た。
俺は開けていた窓を閉めようとする。
「おっと」
閉めかけた窓から手を離し、半開きの状態で放置する。
俺は開けていた父の部屋のドアを閉めようとした。
「おっと」
閉めかけたドアから手を離し、半開きの状態で放置した。
俺は自分の寝室へ戻ると、ドアをしっかりと閉めて布団を頭から被った。眠い。
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