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エレベータは勢いよく伊瀬谷の部屋がある四階へと上がっていく。
扉が開くのに合わせ、十月とは思えない生温い風が吹いてきた。
「竿谷さん、もう縛る準備していた方がいいんじゃないっすか?」
「いや、まだだ。変態かどうか見極め次第、すぐに縛り付ける!玉袋も分かっているだろう? 変態相手の俺は最強だってな」
生温い風に立ち向かいながら玄関のチャイムを鳴らす、ガチャリと言う音と共に顔を出したのは二十代前半の女性だった。
目の下には大きなクマがあり、虚ろな表情をしている。
「こんばんは、竿谷です。早速ですが一番気配の強い場所に案内してくれますか?」
俺がそう言うと、伊瀬谷は浴室の中へ案内した。
依頼主が二十代の女性で悪霊の出現場所が浴室。この時点で悪霊が変態である可能性が70パーセントになった。
しかし、どういう訳か今は悪霊の気配が無い。
俺はカバンからロープを取り出し、伊瀬谷にあるお願いをする。
「伊瀬谷さん、ここに悪霊をおびき寄せます。パンツを脱いでもらってもいいですか?」
俺の台詞を聞いた伊瀬谷は、変態を見るような目で困惑した表情になった後、顔を赤らめた。
「な、なんで除霊にパンツが……」
「安心してください。別に取って被ろうなんて思ってません。ここに棲む悪霊が俺の予想通りなら、あなたがパンツを洗濯かごに入れた瞬間に現れる」
俺の真剣な表情を見た伊瀬谷は、わかりましたと言って扉を閉め、脱衣所でパンツを脱いだ。
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