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誰よりも守ってほしい今日だから薔薇のつぼみのようなやさしさ
よりにもよって繁盛期の残業中に来ないでよ。何となく気づいてたけど、やっぱり来るんだね。元カレみたいにねっとりとした痛みを下腹部へ抱きながら、嫌な時間が早く終われと願う。この時ばかりは心底、男がうらやましい。
「大丈夫ですか?」
今月入社のフレッシュマンは不安げに立っている。同性であっても生理痛の度合いは違うので、相互理解は難しい。それを異性にわかれと言うのは酷な話だ。
「ちょっと女の子の日なだけなの」
にっこり笑ってやり過ごす。病気でもないのにと陰口を叩かれるのは避けたい。大丈夫だよ、ナプキンの用意はあるし、生理用ショーツには蒸気の温熱シートを張ってある。鎮痛剤は一時間前に飲んだ。私は私を守れるから。
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