雨の魔法少女と魔女裁判

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昨日の一件以来、茉穂はすっかり得譜ヶ丘春風になついているのだが、 実の所、私はこの二人をなるべく引き離したいと考えている。 それは幼馴染みがぽっと出の新キャラに取られて悔しいだとか、そんな子供じみた嫉妬の類いでは決して無いと誓おう。 魔女によって殺害された彼の姉、飴野美子(あめのみこ)は善き姉であった。 私にとっては当たりがキツい所も多々あったが、茉穂に対しては優しくおおらかなオーラを放った神の様な存在であった。 彼女の死後、敵討ちの為にと無関係な者を含む全ての魔女を根絶やしにする志しを打ち立てるくらいの敬愛ぶりなので虚言でも装飾でもなく茉穂にとって正しく神格化された存在と言えよう。 そこで問題なのが、得譜ヶ丘春風の登場だ。 茉穂はかのエルフに姉を重て見ているのではないか? あの慕いぶりは姉どころか母親として見ている節さえ感じさせる。 別に神格化までしなくとも、手近な他人を姉の替わりに据えるとすれば 茉穂の心に灯る復讐の火は消えるだろう。 覇道を行く者は孤高であらねばならぬ! 女などもっての外だ。 それともう一つの懸念は魔法少女の処女性だ。 魔法少女は一度でも男と交われば魔女へと転化する。 魔女狩りが魔女へと堕すれば本末転倒だ。 そもそも男の魔法少女は魔女へと転化するのだろうか?? 一応、男性魔導師が女と交わった場合は魔法力がやや落ちる現象が確認されており魔法学会でも正式に発表されている。 とは言え、一時的に弱まるだけで日にちが経過すれば魔法力は回復するのでさほど問題は無く、 魔女が男性魔導師の魔法力を吸収する事例についても、 生涯に渡って二度と魔法が使えなくなる程の重度な吸収は報告されておらず、こちらも日にち薬で回復する。
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