雨の魔法少女と魔女裁判

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「石山砂塵は砂嵐を巻き起こし、土御門寿古威(つちみかどすこい)くんも確か土遁の妖術を使う家系だったと記録されている」 「そうなんだ。 剣道部、土系偏り過ぎじゃない??」 「私に訊かれても困るが、 能力者は引かれ合うと言うのが今の所の見解だ。 建斗頼土の剣技に憧れたように、土属性の後輩が集うのも何か原因があるのかも知れないが こればかりは納得のいく説明がつけられない」 「そうなんだ」 納得いかないまでも、茉穂は何とか頷くしかなかった。 「ちなみに得譜ヶ丘春風は風魔法を操るエルフの末裔だ」 「そうなんだ! 凄い、風魔法僕に見せて!」 それを聞くなり茉穂は風船欲しがる子供みたく、目をキラッキラさせてせがむ。 「うっ、 ああう、私は…そのっ… 駄目なのだ…」 「ああ、彼女は肌白く金髪で耳が長いというエルフの外見的特徴を受け継いではいるが、 父親が魔法力を持たない人間のせいか、全く魔法を使えないのだよ」 私は吐き捨てる。 茉穂の期待の眼差しは光が失せて、一気に憐れみへと変わる。 「ああう、私は只の凌辱されるだけの弱者です…一度はあなたに拾われた命、如何様にでも切り捨て下さい…!」 得譜ヶ丘春風は突如泣きが入る。この人は結構メンタルが弱いのだ。
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