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「大丈夫か、茉穂」
「いや、すげー気持ち悪い…
今度こそ僕は毒で死ぬんだ」
「抗体は持ってるから死ぬことは無い…ま、この感じなら大丈夫だろう安心したよ」
巨大アメフラシに呑まれた茉穂は吐き出されて出てきた。
体液にまみれ、ヌルヌルのヌメヌメだ。
「あの野郎…」
去り行くアメフラシの後ろ姿を認め、桃木アローをもう一撃構える茉穂であった。
「待て、深追いしなくて良い」
巨体だったアメフラシの体が萎んで行く。
「奴は何処に…?」
「魔法生物は契約者が死ぬと魔界に帰る。
彼らにこれと言った人間の区別は無く先着で契約した者と協力関係を結ぶ。
せいぜい腹を満たす事ぐらいしか考えていない。
動物だって自分達の摂理で行動し生活している。虎だって人間を殺して食う事もあるが
だからと言ってそれを悪だと断じるか?」
「んん…?
それは微妙…」
「奴らは人間も人間界もどうでも良いんだ。
人間界の崩壊や支配を企むのは魔女だけだ。
だから、もし魔法生物と相対したらなるべく魔女だけ倒せ!」
「分かったよ、善処するよ」
「うん、良い子だ!お兄さんとの約束だぞっ!」
「何キャラなんだよお前は」
俺達は橋の上から、
川を下って段々と小さくなるアメフラシの背中が見えなくなるまで笑いあっていた。
暫く雨は止みそうに無い、
だがそれも悪くはなかった。
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