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雨の魔法少女と魔女裁判
「ふぉっふぉっふぉ、
お主が飼い主に相応しいかどうかテストさせてもらうよ。
あたしの鏡魔法で犬の虚像を作り出した。
自分を反省し、この子犬を責任持って飼うという覚悟があるならばこの中から本物を探し当てる事が出来るじゃろう。
がじゃ!もし間違えたり時間切れの場合は飼い主の資格は無しと判断し、ワシが新しい飼い主を探すわい」
「そんな…」
「クウゥン〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()〔・ω・()」
犬は百匹は居るだろうか。
都立建斗麻豊十加賀久能学園中学校の中庭に所畝ましとワンワンを大渋滞となっている。
老婆は喧嘩して家出した犬と茉穂との様子を見かねて仲裁に入り最終審判を下すと名乗り出た。
彼女の能力は光の屈折を利用した幻影魔法という事らしいが、犬達は駆け回ったりお昼寝したり思い思いの行動をしていて、
とてもコピーとかのチープな残像とは思えぬ動きだ。
「制限時間は30秒。ただし指名は一度切りだよ!えふおほ」
ペットの親権を賭けた真剣!
犬だけにワンチャンと言う訳か!
飴野茉穂は思案する。
彼は確か、自分の朝食のフルーツグラノーラを犬に食べられたとかで腹を立てたのだ。
しかし、私はそこで漸く思い至る。複数の中から正解を一つ選び取る魔女の問答、これは数多くの童話に登場する意地悪問題で正解は“どれもハズレ”と言う引っ掛け問題。
知らなければ解けず、考えるほど罠に陥る。
「茉穂!」
「助言は即失格と見なすぞよ」
間髪入れず老婆は私を制す。
「大丈夫だよナレタ、この中から本物を見付ける方法がある。
僕、今日名前付けてあげたんだよ♪おいでクウン、フルグラ食べた事もう怒ってないから、
また一緒に暮らそう!」
「クウゥゥゥン〔・ω・()」
無反応だった犬の中から名前を呼ばれた一匹だけが、尻尾を振って茉穂の元へと駆けて行った。
「ふむ、自分が撰ぶのではなく犬に委ねるとはやりおるわ。
えふおほ!ともあれこれで仲直りじゃな」
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