第1章

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あーだこーだと言っているうちに、あっという間にお昼を迎える。 「よーし、飯食いに行くぞー!!」 『別に先輩は来なくていいのに…』 「まぁまぁ。」 三者三様の面持ちでランチへと向かう。 向かう先は、最近建てられ、人気のレストラン。 どうやら、シェフが一流で、とりあえずどんなジャンルも美味しいらしい。 「「いらっしゃいませ。」」 「志貴さん、毎度ありがとうございます。」 シェフ直々の登場。 うん?どっかで見たことあるような… 「やめろよ、真純(ますみ)兄さん。」 『「に、兄さん!?」』 不愉快ながら、寺嶋先輩とハモってしまう。 志貴は、あ。と言う顔をすると、言いずらそうに、「従兄弟なんだ。」と打ち明ける。 そのシェフはこういった挨拶には手慣れているのか、優雅に腰を折り、頭を下げて挨拶をしてくる。 なるほど。だから見たことある顔だと思ったのか…。なんだか志貴をもっと柔和にさせた5年後みたい。 すると、その顔が此方を見遣り、笑顔を浮かべる。 「君が、周くん?」 その問いにコクと頷くと、フムフムと言うように僕を見る。 『…?』 どう反応したらいいか分からず、志貴を見遣ると、苦虫を噛み潰したように顔を顰めている。 え?志貴どーしたの。 すると、元々柔和な顔を、更ににっこりと表情を和らげて、 「志貴の従兄弟の桜庭 真純(ますみ)です。」 『ぁ、成宮 周と申します。』 「志貴とは、仲良しなんですか?」 唐突の質問に戸惑いつつ、事実職場の中では1番仲いいしな…と思い、 『…まぁたぶん。』 「どうぞ志貴をよろしくお願いしますね。」 『はぁ…。』 「あ、そうだ。志貴の好きなコーヒー豆差し上げましょうか?たぶん、不機嫌な時もきっとこれさえあれば、機嫌が直ると思いますよ。」 『志貴が機嫌悪い時なんてあるんですか…⁇』 「えぇ。あまり志貴は機嫌悪くなることはありません?周くんの前では。」 『ぁ、ぃゃ僕の前では、というより…。いつも優しいし…。』 「ほぅほぅ…そこまで、…てる…ですね。」 『?』 「いや〜、本当に周さんにお会いできて幸せですよ。なにせ、志貴は昔から」 「ちょ、もうやめろよ!!」 志貴ってコーヒー飲めるんだ、カッコイイなぁーなんて見当違いなことを思いつつ、桜庭さんを怒る(あ、志貴も“桜庭”か。)様子を眺める。 とりあえず先に食べ物頼んじゃおうっと。 近くに居たウェイトレスさんに適当にオーダーする。
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