第1章

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やっぱり今人気急上昇中の俳優に依頼しようか…。 でも、相手側は了承してくれるだろうか。 そもそもそんな人気急上昇中の俳優を起用する費用を捻出してくれるだろうか。 また、うぅんと唸っていると、隣で志貴がククッと口を押さえて笑っていた。 僕が訝しげに見遣ると、 「部長は、成宮のその慎重さだったり、理論的な所を買ってるんだろうな。」 そうなのか?と思って首をかしげると、肯定するように志貴は、微笑む。 「まぁ、とはいえ。あまり慎重になりすぎても前に進まないじゃないか?ちょっとくらい大胆にいってみて、新鮮なアイディアが生まれることもあるもんだと思うけどね、俺は。」 …慎重さ。大胆さ。 相反するけど、確かに新鮮さはある…か。 大胆にいくなら、やはりデザイン性重視かな。 視聴者が購買欲をそそられると言うより、見入ってしまうようなCM。 そうなると、人気急上昇中の俳優のイメージの好青年イメージより大人な感じを演出して、スポーツ飲料らしからぬ暗めの照明から始まり、締めはその俳優にきっちりスポットを当て、ビシッとカッコよく決め『っっぃた!』 「相変わらずいいサイズだなぁ〜なるちゃん。」 『〜!!!』 「先輩、成宮潰れちゃいますよ。」 「おぉ、わりぃわりぃ。」 『…痛かったので、慰謝料一千万を請求します。』 いい感じでアイディアが浮かんでたのを台無しにしてきて、僕を侮辱してきた此奴は、寺嶋(てらしま)正辰(まさとき)。憎くも僕の先輩にあたる。この人なんかオッサンだ!オッサン!
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